理系の方で、もし研究に携わる方であれば成果の報告を学会や研究会などで発表することが多いと思います。
私自身学生時代はもちろんですが、会社に勤めているときにも共同研究ということで学生さんたちのプレゼンテーションの資料の手直しをしていました。15年も学会発表や社内の技術報告会を行っていると、だんだんとやるべきことがわかってくるものですね。
案外学校の教授はプレゼンというより単なるデータの羅列をしがちなので、もしあなたが担当者であれば今一度、理系のプレゼンテーションはどうすべきかについて一緒に考えていきましょう。
プレゼンテーションの目的は?
文系であれ理系であれ、プレゼンテーションは他人の行動を促すものに他なりません。なので教授など学者気質の方の研究発表は、たいていの場合プレゼンテーションではないのです。
どうすれば、他人を動かすことができるのかをしっかり考えてあげれば、より意味のある発表になることでしょう。
それでは、私がおススメする理系のプレゼンのチェックポイントをお伝えしていきます。
目的を明示すること
まず重要なのが、発表資料のタイトルです。
「○○に関する研究」「●●の最新調査」「○○の開発について」
以上が一般的なものでしょう。
この内容に、しっかり目的とする機能について記載してあげるとより興味を持ってもらえます。
例えば、あり得ない話ですが、ある砂漠から得られた細菌の特徴を研究をしているとして、なんらかの特性が得られたことを発表する場合を考えましょう。担当者にとっては
「○○砂漠由来の##最近の新規機能の研究」
として、成果報告したいと思いますが、それでは面白くない。
今回の機能が、もし地震を予知するという特性が得られたのだとしたら、
「地震予知機能を有する細菌##の機能発生要件に関する研究」
などとした方が、タイトルの具体性と印象が変わります。(いたら凄い架空の細菌ですがw)
当初の目的ではなく、結果から得られたことをベースにタイトルをつけてあげましょう。
数値目標を明示しよう
上のタイトルでも目的を記載しましたが、プレゼンテーションに入ったらより明確な目標値を「数字で」明示する必要があります。数値目標をあらかじめ聞いてくれる方にインプットしておくだけで、理解のしやすさは変わります。
目次をつくって、だらだらと読み上げるなら、
「○○%の確認を目標に開発を行いました」という目標に時間を使った方が有効です。
研究の現状について述べよう
こちらも目的にも関係する部分になりますが、最終目的と現状の開発状況についてしっかりと可視化してあげることが重要です。特に企業での研究を行っている方は必須です。
利益を追求するという命題をもつ企業では、投資に対する回収が困難であるとわかった場合には研究を辞める必要があります。
では、困難かどうかはどのように判断されるのか。
これは相手の理解度や、信頼にも影響してくるものと私は考えます。
研究の内容や重要性を100%理解しているのは結局担当者と近い上司まででしょう。投資の決定はおそらくそれ以上の方が行います。すると、大切なのは偉い方々へ理解してもらうこと、現状を正しく評価し報告することなんですね。
理系に染まってしまうと、成果を上げればよいと考えられがちですが、実は「情」によるものも大きいということを理解しておきましょう。
わかりやすく説明しよう
学会発表でも、研究発表会でも大切なことは自分が物知りであることをアピールする場でありません。中にはそのような目的でやられている方もいらっしゃるかと思いますが、担当レベルの一番の目的は、
最終ゴールまで早く辿り着くこと
です。
そのためには、より賢い方の協力や助言を引き出す必要があるんです。その方は同じ研究の専門家というわけではないかもしれません。たいていの研究のイノベーションは他のジャンルの考え方と自分の分野の考え方が融合した時に生まれるので、是非自分の畑以外の方にわかりやすい説明を心がけましょう。
メカニズムは明確に
研究発表をするテーマを始めるときに考えていた思考について、しっかり説明すると良いでしょう。
仮説ではこのようなメカニズムになり、こんな結果を予想していた。
結果は○○であった。
と自分の思考した経路を見せてあげると良いでしょう。
グラフには目標値がわかるようにすること
理系の方の場合には結果を数値で報告することが多いと思います。
単純にグラフを並べるだけでは、上がったのか、下がったのかしか理解できないでしょう。
また数値のレベルも専門家なら凄さが理解できますが、そのジャンルで知識ない方には全く意味を成しません。
そのためグラフ中には、比較となる数値と目標とする(閾値)などしっかり図中に示してあげる必要があります。
さいごに
理系のプレゼンテーションを考えるときに見落としがちなポイントを挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
デキているわ!という方も多いと思いますが、学校の研究に染まっている博士号をお持ちの方などは、デキていない部分が多いのではと思います。
誰かに伝えるためのアクションがプレゼンテーションであると心にとめてもらい、良い成果をアピールしていただければ嬉しいです。大切なデータをしっかり生かしてあげましょうね。
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